アロマテラピーテクニックを超えて、とりわけ女性及び肌にトラブルを抱えた人はこの自然の恵みを充分利用して欲しい。

月見草油-誕生から高齢期迄の価値ある同伴者


雑誌名:フォーラム
通巻:29 - 2006
ページ:10 - 13
著者:Ms. インゲボルク・シュターデルマン(Ingeborg Stadelmann)
題名:月見草油とザクロ油-誕生から高齢期迄の価値ある同伴者
著者紹介:ドイツアロマテラピー協会FORUM副会長
翻訳:フィルマ・フカヤ(http://www.fukaya-shouten.biz)


月見草油とザクロ油
月見草油とザクロ油は植物油全体の中で、私にとってとりわけ掛け替えのない、値打ちある助け手になった。アロマテラピーテクニックを超えて、とりわけ女性及び肌にトラブルを抱えた人はこの自然の恵みを充分利用して欲しい。

月見草油 - Oleum Oenotherae
近年月見草油の人気が高まっている。この油は月見草種子を入念に常温圧搾して得られるものだ。読者は多分日暮れ時にのみ花開き、かぐわしく香るこの黄色い花をご存じのことだろう。黄色い花の命が短いように、種子からとれた油の保存期間も短く、急速に酸化するので冷蔵庫保存が最適であり、この点植物油保存上の最大の例外をなしている。保存期間は1年程である。

ホルモン収支への好影響
様々な皮膚疾患や免疫系統障碍、ホルモン機能の異常、これらの治療には月見草油などの三価の不飽和脂肪酸を含む植物油が重用される。これらの油脂はプロスタグランジンやエストロゲンの生成に好影響を与える。不飽和脂肪酸の作用は未だ充分研究されてはいないが、すくなくとも免疫系統に不可欠であることと、そのため「必須脂肪酸」なる名称が与えられているのだが、体内の細胞をフリーラジカル(活性酸素)の様な有害物質から守る働きを持つ事が知られている。人体はリノールやリノレン酸の様な多価不飽和脂肪酸を自己生産出来ない。よってこれらの油脂を外部から摂取するのが不可欠となる。多価不飽和脂肪酸はホルモン収支全体に抜群の好影響を及ぼし、免疫系統を強化するのでアレルギー患者に最も勧められるものだ。

月見草油は人の性ホルモンにも影響を及ぼす。エストロゲン類似の作用を有し、女性ホルモン収支を改善させる必要のある場合ならいつ投与しても良い。思春期のニキビであれ月経前症候群(PMS)であれ不妊症であれ子宮口の発達不全であれ出産後の鬱症状であれ更年期症候群であれ何に対しても有効だ。内服しても良いし局部的に皮膚から擦り込んでも良いし全身マッサージオイルに使っても良い。自然療法の手法が慢性症状の改善に有効性を発揮するまで勿論ある程度の時間がかかる。ホルモン異常の場合、選択した油を3ヶ月継続するよう勧める。たとえ異常が第2期(エストロゲンとの関連が小さくなっている)であっても月見草油による治療は有効だ。というのも安定したエストロゲン期の後に最適なプロゲステロン期が続くからだ。その上私の経験によれば月見草油は女性に特有な症状に対してのみでなく、男性であっても気持の動揺する場合や神経が露わにされている様な場合は、年齢に関わらず効き目がある。

豊富なガンマリノレン酸
1980年代初めにガンマリノレン酸が多量に含まれている事が判り、月見草油の効果の原因が解明されたが、その他にもさらにリノール酸や脂肪酸、不飽和脂肪酸および少量の副次的成分が含まれている。
ガンマリノレン酸は多価不飽和脂肪酸の一つで、人間にはとりわけ重要であるにも関わらず植物中には稀にしか含まれていない。ガンマリノレン酸が欠乏している人間は皮膚疾患、ホルモン障碍、太りすぎやストレスに陥りやすい。ガンマリノレン酸は抗生物質類似の物質として記述されうるもので、それもまたこの油の治癒力を説明している。 ガンマリノレン酸が母乳中に多量に含まれる点も興味深い。近年多発する皮膚病は哺乳壜育ちの世代だからという理由で説明できるのだろうか?同じように調整済離乳食に含まれる植物油が少なすぎるのも近年知られる様になった。

神経性皮膚疾患の良き友
私が集めた月見草油の経験は主に神経性皮膚疾患患者からのものだが、その際患者をもっぱら月見草油やそれから作った軟膏で治療する方法が有効だった。私の作ったオリジナルISアロマブレンド「シストローゼ」はイモルテル精油を含むもので、多くの家庭で役立っている(訳者註:ISは著者のイニシアル)。患者の家族はこのブレンドのお陰で鬱陶しい治療法を採用せずに済む様になった。なおこのブレンドは完成品なのでアロマテラピーについて深い知識が無くても使えるという利点も有る。
ローズフローラルウオーター(アルコールを含まず、良く振って混ぜ合わせたもの)と組み合わせたものは痒みに悩む人から愛用されている。ただしこうした方法だけでは病気の治癒に至らない点は充分理解されねばならない。生活態度に気をつける事、先ず健康で価値有る有機食材の利用から始めて、傷付き易い精神への配慮とかが伴わなければならない。 ”針のむしろに悶え苦しむ”というひどい患者の場合はホメオパシーの「毒物療法」の併用をお勧めする。
なお皮膚疾患の子供への対応で一番大事なのは、子供の心を保護する事、子供の悩みや問題をあけすけに周囲に漏らさない事だと思う。そんなことをされたら子供は文字通り裸にされた様な気がするだろうから。

内服でも外用でも
月見草油を内服する際は事前にセラピストに相談すると良い。通常は日に3回、ティースプーン1杯ずつを呑む。子供なら2回で充分。油を呑むのを嫌がる人の場合はカプセル入りがお薦めだが、蜂蜜やヨーグルトに混ぜて一緒に呑んだらどうだろう。こうすればカプセルより安上がりだし味も良くなる。
外用したい時は、他のマッサージ用オイルに10%混ぜて使うと良い。この方法でマッサージ油の効き目と皮膚保護効果が増大する。
月見草油は最も高価な植物油の一つだ。値段は有機栽培スイートアーモンド未精製バージンオイルの3倍はする。しかし自分の健康を値段で決めてはいけない。

-以下省略-




ヘルムート・イーゼルト著
『月見草油 - 心臓と血液循環を強化する自然の妙薬』