クーヘンとガトー:Kuchen und gateau

洋菓子には二つの流れが有ると感じています。一つは日本のお菓子屋さんで昔から作っているスポンジケーキを土台にするドイツ流のクーへン。もう一つがフランス風のガトー。これはスポンジケーキを土台に使用せずパイ生地に果物などをのせて焼きます。クーヘンは厚ぼったくガトーは薄く感じられますが土台が硬いので完食に要する時間は似たようなものになってしまいます。

どうしてこういう差ができたのかは分かりませんが、フランス風のガトーは食事の最終部分(デザート)としてコース料理に組み込まれています。厚ぼったいドイツクーヘンではお腹がきつくなってしまいます。

一方ドイツのクーヘンはデザートではなく午前や午後のコーヒータイムにおやつとして賞味されるのが本来の姿です。小腹が空いた状態を抑える訳ですから分量も多くなりますし、クリームも多用されるのではないでしょうか。
サクランボを同じく使いながらまるで外観の違うドイツ流シュヴァルツバルト・トルテとフランス流のタルト・オ・スリーズの画像を載せておきました。
ドイツ流の本場はやはりウイーンですね。

ドイツ・オーストリア人はビールを好むだけではなく、男でも甘いお菓子が好きなのも意外です。コーヒーショップは伝統的に Kaffee Konditorei カフェー・コンディトライ (コーヒー洋菓子店)の看板を掲げています。パリのカフェで男がケーキを食べている図は殆ど見かけませんでした。

コンチネンタルタンゴの名曲に『小さな喫茶店』というのがあります。ウブな二人連れが喫茶・洋菓子のお店に入りますが、どう会話を運んだら良いのか見当がつかず、黙ったままお茶とお菓子を前にして時間ばかりが経っていく、という微笑ましい内容です。大人の男性もケーキを喜んで食べるオーストリア・ドイツらしい曲ですね。ユーチューブでお聞きになれます。

(深谷)