アロマラント通信201610月号

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

1. 記事:Latschenkiefer ハイマツ  雪江奈津代

2 ドイツの食文化 (2)

秋の味覚シュラフトプラテ Schlachtplatte

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

1 記事

樹木系精油②

Latschenkiefer  ハイマツ

(Pinus mugo)

          IFA認定アロマセラピスト・ITECアロマセラピスト  

          雪江奈津代


さて、前回のアロマラントメールマガジンでは樹木系精油①としてフィヒテをご紹介しました。

アロマラントドイツは樹木系の精油が豊富で品質もとても良いのが特徴です。

今回は第2回ということで、ハイマツをご紹介します。

 

前回のフィヒテ(ドイツ唐檜)は日本に住んでいる私たちにとって、実際にフィヒテの森を目にすることはなかなかないと思います。わが家では、毎年ヨーロッパ唐檜をクリスマス前に用意し飾りつけをします。環境のために剪定伐採したものを使っているため、根の無い状態ですが、部屋中に香りが漂い森の中にいるようです。フィトンチット効果もあるため、クリスマスツリーが風邪予防や自律神経の調整にも役立つ、一石二鳥というわけです。・・・少し話がそれましたが、フィヒテはクリスマスツリー以外で見かけることは少ないのではないでしょうか。今回のハイマツはフィヒテに比べて私たち日本人にとって少し身近な植物ではないかと思います。

【ハイマツの基本情報】

ハイマツは、日本国内で一般的に標高が23002500mより上で見られるといわれていますが、白馬八方など一部の山では1400m付近から見ることができるため、皆さんもご覧になったことがあるのではないでしょうか。

標高の高い場所に生息する高山植物で、強い風から身を守るため地表を這うように成長するため、このような名前が付きました。ハイマツは自然保護を受けているため、精油の原料となる枝の先端や葉などは特別許可を得ないと切り取ることはできません。

アロマラントの学名「Pinus mugo var.pumilio」のPinusは、「マツ属」を示しmugoはムゴマツ科としての表現です。ムゴマツ、モンタナマツなどといわれ、アルプス山脈やカルパチア山脈、ピレネー山脈などに生息するものを表してもおり、アロマラントのハイマツはカルパチア山脈産です。Var.pumiliaは、ハイマツ種(変種)を表しています。

【香りの特徴】

マイルドで森林風、フレッシュな香り。

【効果の特徴】

抗菌作用、去痰作用があります。風邪やリュウマチ、痛風、血行障害、気管支炎など胸の病気にもよく使われます。そして心理面では、自信喪失したときや気持ちの混乱、地に足がつかず浮付いているときなどに安定を促します。すべての精神疲労にハイマツは大変役に立ちます。

人が沢山集まるようなところ(駅・教室など)の空気を浄化する作用があります。さらに、否定的な人生観を前向きに転換します。

【精油の使い方(実例集)】

           吸入:鼻風邪と普通の風邪のときに、ハイマツは治癒力を活性化する。

  レシピ(ハイマツ3滴、サイプレス1滴を沸騰する2Lのお湯の中に入れて5分から10分吸入する)。

           アロマバーナー:室内空気を清浄にしてフレッシュにし、呼吸を深くさせる。

レシピ(ハイマツ6滴、レモン2滴、ユーカリグロブルス2滴)、

            皮膚への塗布:関節や筋肉が痛いときに役に立つ。

  レシピ(ハイマツ3滴、ジュニパー3滴を大さじ1杯のスイートアーモンドで伸ばす。)

            スチームサウナ(フィンランド式):咳喉やしゃがれ声、鼻風邪、感冒が原因の筋肉痛に

レシピ(桶1杯の水に3~5滴のハイマツ精油を入れて、石で蒸気をだす)

【ブレンドの相性が良い精油】

前回のフィヒテと同様、様々な精油と相性が良いです。

ユーカリ・タイム・ラベンダー・ライムなど(サンダルウッド・ジャスミン・イランイランとブレンドすると催淫作用に対してより効果的です)。

【まとめ】

植物のキャラクターは、その生育環境や植物としての役割にとてもリンクしています。

環境に合わせて逞しく生きるハイマツ、その力強さやしなやかさは、そのまま精油のパワーとして私たちが受け取ることができます。一日の疲れをリセットするバスタイムに、またハンカチに1滴垂らして通勤通学のお供に、生活の一部に植物を取り入れて毎日をポジティブに。


次回は、Zirbelkieferスイス高山松をご紹介します。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ドイツの食文化 (2)

秋の味覚シュラフトプラテ Schlachtplatte

 

東独という国が有った頃、ザクセン州の商都ライプツィヒで現場通訳をしていました。中央駅に向かって左側に古色蒼然たるホテルがあり、そのレストランをよく利用していました。格式は高いのでしょうが食材が仕入れられないせいで、どうしても西側同業者にはかないません。その分昔流の献立が残っていてドイツ伝統の料理に親しめました。

 

秋が深まってくるとメニューにシュラフトプラテが載ります。季節料理なのかと思っていましたが名前が尋常ではありません。シュラフトとは屠殺、皆殺しの意味で物騒です。英語ならスロート、プラテはお皿ですから、皆殺しプレートとでも訳すのでしょうか。無愛想なウエイトレスに教えてもらうと、冷製肉製品盛り合わせとの事でした。様々なソーセージやハム、ベーコンなどがプレートに盛り合わせてあるのです。

なぜこんな物騒な名前がついたのか、調べてみると面白い。近世までのドイツでは秋になると家畜屠殺屋の一団が村々を巡回し、頼まれて主に豚の皆殺しをしていたのです。豚飼育の利点lは餌がいらないという点です。人間が飢えに苦しんだ時代ですから豚にやる餌など有りません。農家は資力に応じて数頭の豚を飼い、村じゅうでまとめて豚飼いに預けます。豚飼いは毎朝、村じゅうの豚を引き連れて近所の森へ出かけ、そこらのドングリなどを豚に食べさせます。森は共有ですから飼料代ただ。夕方豚を引き連れて村に戻るとそれぞれの所有者の豚小屋へ戻します。こんな放牧では豚が太るわけもなく、中世版画に描かれた豚はどれも痩せて猪のように牙まで生えています。

さて秋も終わり冬が近づくと森のドングリも無くなりいよいよ餌のない季節となります。そこで村じゅうの豚をまとめて屠殺し、肉をソーセージやハムに加工して冬をしのごうとなる訳です。年に一度だけ新鮮な生肉のご馳走の食べられる日でもありますね。

屠殺集団は食肉加工集団でもありましたから、村の広場で殺したての豚を捌いて塩や香辛料をまぶしたり茹でたりしてソーセージなどを仕込みます。数日?数週間後にハムなどが仕上がると年に一度の大宴会となります。一滴の血も無駄にせず、血のソーセージ(ブルートヴルスト)に利用するなど見事な手際です。この宴会でビールとともに供されるのが出来たてのシュラフトプラテ(冷製肉盛り合わせ)だったのです。これで名前の由来もはっきりしました。

 

ドイツのハムソーセージは種類味ともに立派なものでどれを選んで良いのかドイツ人も迷う程ですから、概観を知るのにこのシュラフトプラテは最良のサンプルとして役立ってくれます。遠慮せずウエイトレスに「これは何ですか?豚のどの部位の肉を使うのですか?」と尋ねてみましょう。

 

ついでですがドイツ語ではソーセージ、ハム、ベーコンなど加工肉専門店をメツケライといい、生肉を売るお店フライシュライと区別しています。

 

(深谷)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

メルマガ発行者:深谷商店

103-0025 東京都中央区日本橋茅場町 2-17-6-608

tel/fax 03-3249-7844

http://www.fukaya-shouten.biz/

 

本メルマガがご不要の向きは恐れ入りますがご連絡下さい。遅滞無く解除致します。